祝日っていつからあるの?【祝日一覧あり】
9月に入っても暑い日が続き、ふと、秋っていつから?と思いますね。立秋(8月7日)は過ぎているのに…気象庁では9~11月を秋としています。確かに、朝晩は少しずつ風が気持ちよくなっていますし、スーパーでは秋に美味しい食材も並ぶようになってきました。
そんな秋には、旅行を考えている人もいるのではないでしょうか。祝日と合わせてたっぷり楽しむ人も、祝日を敢えて外して平日中心に楽しむ人も、やはり気になるのは「祝日」。
今回は、祝日の歴史について調べてみました。
「国民の祝日」は昭和23年から
「国民の祝日」は、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号。略「祝日法」)で定められた休日です。
23年7月5日に成立、同年7月20日に施行されており、その当時は、元日、成人の日、春分の日、天皇誕生日、憲法記念日、こどもの日、秋分の日、文化の日、勤労感謝の日の9日が定められました。
ですので、祝日法初の祝日は、昭和23年9月23日の秋分の日になります。
その後、改正によって7日追加され、現在では16日の「国民の祝日」が定められています。
ちなみに、祝日は毎月あるようにも感じますが、6月と12月には祝日がありません。年末の休みのある12月は、祝日がないようには感じませんね。
〈月ごとの祝日の数〉
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
2日 | 2日 | 1日 | 1日 | 3日 | なし |
7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
1日 | 1日 | 2日 | 1日 | 2日 | なし |
祝日一覧とその趣旨
祝日法には、第1条に
自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。
と記されています。
「国民の祝日」には、国民みんなで風習を大切にし、より良い社会や豊かな生活を作っていこうという想いが込められていたんですね。
そして、祝日にはそれぞれ趣旨がありますので、まとめてみました。
元日 |
1月1日 |
年のはじめを祝う。 |
成人の日 |
1月の第2月曜日 |
おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。 |
政令で定める日 |
建国をしのび、国を愛する心を養う。 |
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2月23日 |
天皇の誕生日を祝う。 |
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春分日 |
自然をたたえ、生物をいつくしむ。 |
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昭和の日 |
4月29日 |
激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。 |
5月3日 |
日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。 |
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5月4日 |
自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。 |
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こどもの日 |
5月5日 |
こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。 |
海の日 |
7月の第3月曜日 |
海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。 |
山の日 |
8月11日 |
山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。 |
9月の第3月曜日 |
多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。 |
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秋分の日 |
秋分日 |
祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。 |
スポーツの日 |
10月の第2月曜日 |
スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う。 |
11月3日 |
自由と平和を愛し、文化をすすめる。 |
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11月23日 |
勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。 |
改めて趣旨を読むと、「祝日=休み」というだけではなく、もっと奥深いものを感じます。
昭和23年以前は「祝祭日」
では、祝日法の前はどうだったのか。その前身となるのが昭和2年勅令第25号で、11日の休日が定められていました。
具体的には、皇室の祭典が行われる「祭日」のうち、元始祭(1月3日)、春季皇霊祭(春分日)、神武天皇祭(4月3日)、秋季皇霊祭(秋分日)、神嘗祭(10月17日)、新嘗祭(11月23日)、大正天皇祭(12月25日)の7日と、国及び国民の「祝日」のうち、新年宴会(1月5日)、紀元節(2月11日)、天長節(4月29日)、明治節(11月3日)の4日を合わせた11日となります。
祝日法に改正された背景には、昭和22年の日本国憲法の施行があります。新憲法の精神に基づき、祝日も再検討することになり、昭和23年1月から国会で議論を重ね、祝日法が定められました。
この祝日法によって、法律上「祭日」はなくなりましたが、今でも「祝祭日」という言葉は残っています。
日本の祝日の起源は奈良時代
それでは、日本の祝日の起源は?となると、奈良時代(710年頃〜794年)にまで遡ります。
「国民の休日」のような国家的な祝日が定められたのは、明治時代(1868〜1912年)になりますが、奈良時代には貴族による祭祀などの儀礼はすでに行われていました。
例えば、端午の節句(5月最初の午の日)は、奈良・平安時代には災厄よけの一大行事でした。災厄よけのために宮廷の軒や冠に菖蒲を飾ったり、悪鬼退治のために騎射(うまゆみ)などの催し物を行っていました。徐々に庶民にも広がり、家の軒に菖蒲を挿し、子供たちが弓を引く催し物などもあったようです。
平安時代(794~1185年)後半から武士の時代への突入し、武家の家祭や庶民の伝統的行事、中国の節句儀式などが融合しながら、祝日のような日が定着していきます。
江戸時代(1603~1868年)になると、幕府はこのような日を正式に「節日(せちにち)」と定めます。五節句(七草の節句、桃の節句、端午の節句、田の実の節句、菊の節句)のほか、元旦や七夕などがありました。
明治時代に「節日」から「旗日」へ
明治時代(1868~1912年)に入ると、日本は、天皇を頂点とする明治政府のもと、政治、経済、社会、文化などあらゆる分野で急速な近代化を推し進めます。
暦も「太陰暦(旧暦)」から「太陽暦(新暦)」に変わり、1日は24時間、1年は365日となりました。これに伴い、五節句などの伝統的な「節日」を廃止し、「年中祭日祝日ノ休暇日ヲ定ム」(明治6年太政官布告第344号)によって、祭日・祝日が定められました。
祭日には、元始祭、春季皇霊祭(春分日)、明治天皇祭、秋季皇霊祭(秋分日)、新嘗祭(のちの勤労感謝の日)など、祝日には、紀元節(のちの建国記念日)、天長節(のちの天皇誕生日)、明治節(のちの文化の日)などがありました。
また、明治政府が「日の丸」を国旗として制定し、祭日・祝日には、各家庭で国旗を掲げることが一般化します。そのため、明治時代から大正時代(1912年〜1926年)には、祝日は「旗日」と呼ばれていました。
休日法から祝日法へ
「年中祭日祝日ノ休暇日ヲ定ム」は、大正時代に入ると「休日ニ関スル件」(大正元年勅令第19号)と改められ、休日法と略されます。
その後、戦後に祝日法へと改正され、今の「国民の休日」へと移行してきました。
ちなみに、祝日は制定当時は9日でしたが、以下のように追加されています。
- 1966(昭和41)年 建国記念の日、敬老の日、体育の日(スポーツの日)
- 1989(平成1)年 みどりの日
- 1995(平成7)年 海の日
- 2007(平成19)年 昭和の日
- 2016年(平成28)年 山の日
このほか、1973(昭和48)年に、祝日が日曜の場合、最初の平日が休日になる「振替休日」、1988(昭和63)年に、前後が祝日となる平日は休日になる「国民の休日」が設定されています。
まとめ
以上、祝日の歴史について調べてみました。
祝日は、奈良時代に原型ができ、江戸時代に「節日」と定められて以降、「祭日」「旗日」と名称を変えながら、今日の「祝日」になっていました。
明治時代に旧暦から新暦に変わり、伝統的な「節日」が廃止されたのには驚きましたが、子供の日(端午の節句)以外にも、七草粥(七草の節句)やひな祭り(桃の節句)、七夕といった伝統行事として今も親しまれていることを嬉しく感じます。
秋は、祖先を敬い歴史を振り返るような祝日や、文化・スポーツを愛でる祝日もあります。こうしたものを感じられる場所やイベントに出かけてみるのも良さそうですね。